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AIに世界地図と京浜東北線を描かせた。GPT-6 Astraで考えるAIリテラシー

「get the map of world」で画像を生成してみました。

出てきたのは、青い海に国々が色分けされた世界地図です。国名が入り、方位記号や縮尺も付いています。小さく表示された画像を見る限り、地図として必要なものはそろっているように見えました。

ところが、左下の凡例を読むと、配色との食い違いに気づきます。アジアは紫色と説明されているのに、中国は緑、インドは黄色です。北米も一つの色で説明されていますが、カナダと米国は違う色になっています。

国別に色を分けること自体はおかしくありません。ただ、それなら大陸別の凡例とは対応しません。地図の中に、二つの異なるルールが混ざっています。

画像を作る操作は簡単でした。むしろ、そのあとに「これを使ってよいか」と判断するほうが難しい。今回考えたいAIリテラシーは、この部分です。

GPT-6 Astraとの対話で生成した世界地図

今回使っている対話モデルはGPT-6 Astraです。Codex上で画像生成を依頼し、内蔵の画像生成機能が作った画像を掲載しています。対話モデルの名前と、実際に画像を生成するモデルの名前は区別する必要があります。画像生成側のモデル名は今回の実行結果では確認できていません。

世界地図では、画像生成機能へ次の指示をそのまま渡しました。

get the map of world

AIが生成した世界地図。左下の大陸別の凡例と、各国の配色に不整合がある

生成結果そのものを掲載しています。正確な地理資料として検証済みの地図ではありません。左下の凡例と、中国・インド・米国などの色を見比べると、食い違いを確認できます。

これは既存の地図を検索して取得した結果ではありません。画像生成を依頼し、その機能が新しく作った画像です。指示にgetという単語があっても、今回の処理が地図の取得に変わるわけではありません。

国境や国名が細かく描かれていることは、出典となる地理データと照合されたことを意味しません。今回の画像には、その照合結果も添えられていませんでした。

なお、世界地図を生成したのはこの1回です。この出力から「毎回失敗する」「アフリカだけを間違える」とまでは言えません。確認できたのは、この画像の凡例と配色に不整合があることです。

京浜東北線なら、見る側の知識を使える

次に「京浜東北線の路線図を描いて」と依頼しました。水色の線に沿って、日本語の駅名が並ぶ画像になりました。

AIが生成した京浜東北線・根岸線の路線図。大宮から大船までの駅名が3列に並ぶ

こちらも生成結果そのものです。公式の路線図ではありません。根岸線への直通区間を含む、大宮から大船までの図として生成されました。

この二つを見比べると、出力の違いに加えて、確認する側の知識の違いが気になります。

普段乗っている路線なら、駅の順番がおかしいと気づきやすいでしょう。「この駅の次はここだったはず」と、手元の知識を使えます。一方、詳しくない地域の国境や国名は、きれいに描かれていると受け入れてしまうかもしれません。

同じ人が見ても、題材によって誤りを発見する力は変わります。自分が間違いを見つけられなかったことは、出力が正しい証拠にはなりません。

二枚の画像は、同じ条件で作っていない

今回の路線図では、画像生成前にアシスタントが駅名と順序を指示へ追加しています。白背景、水色の路線、日本語の駅名、大宮から大船までの駅一覧、根岸線直通の区別、必要なら3列にする構成などを指定しました。

確認項目世界地図京浜東北線の路線図
利用者の依頼「get the map of world」で画像生成京浜東北線の路線図を描いて
画像生成へ渡した情報英文の指示をそのまま使用アシスタントが駅名・順序・レイアウトなどを補足
今回の生成回数1回1回
出力の位置づけ生成画像生成画像

短い一文だけを渡した世界地図と、駅一覧を与えた路線図を、そのまま比べて生成性能の優劣を判断することはできません。

完成した画像だけでなく、何を入力して作られたのかまで見る必要があります。駅名の一覧を与えた場合には、その情報を欠落や重複なく描けたか、という確認も必要です。

誤った地図が、発表資料に入ったニュース

地図の扱いは、個人の実験だけの問題でもありません。

2026年7月、米国務省が国際会議の資料で使ったアフリカ地図に、国の位置の誤りがあったと報じられました。Reutersは画像にOpenAIのツールによる生成を示す透かしがあったと伝え、国務省は混乱を招いた責任を認めています。Reuters配信記事・CNA

この出来事で気になるのは、画像の誤りが発表資料として使われる段階まで残ったことです。地図は地域の説明を助けるために入れるものですが、位置関係が違えば、図を追加したことで説明そのものが不正確になります。

ただし、報道された画像の入力指示や使用モデルの詳細は確認できていません。今回と同じ条件で起きた事例としては扱えません。

また、APは2026年8月、教員研修で世界地図を生成し、AIへの過信を考える実演が行われたと報じています。操作方法の習得に加え、出力の限界を学ぶという背景情報として参考になります。APの報道

今回掲載した二枚は、これらの報道に掲載された画像の転載ではなく、この対話で新しく生成したものです。

「生成しました」の次に、何を確認するか

最初に確かめられるのは、画像の内部です。凡例と色は合っているか。同じ名前が重複していないか。説明と図が食い違っていないか。今回の配色の問題は、この段階で見つけられました。

次に、外部の資料と照合します。国の位置なら地図帳などの信頼できる資料、駅の順序なら鉄道会社の路線図が確認先になります。

そして、確認していない部分を残しておきます。「国名をいくつか確認した」ことと、「地図全体を確認した」ことは違います。確認の範囲を曖昧にすると、一部を見ただけで全体にお墨付きを与えてしまいます。

出力を作ったAIへ、もう一度正しいか尋ねる方法もあるでしょう。確認項目を洗い出す助けにはなりますが、返答だけで照合を終えず、生成結果とは別の根拠へ戻る必要があります。

自分では判断できない部分を認識する

AIの操作に慣れると、出力を得るまでの時間は短くなります。文章も図も、何度でも作り直せます。しかし、生成の速さに合わせて、自分の知識や確認能力まで増えるわけではありません。

世界地図の細部を判断できないなら、そのことを認識する必要があります。何を調べればよいか考え、資料がなければ採用を保留する。必要なら詳しい人に確認してもらう。こうした判断も、AIを使う作業の一部です。

正確な地図が必要なら、出典のある地図を土台にし、見出しや説明文の案をAIに考えてもらう方法があります。路線図なら、確認済みの駅情報を使い、配置を整えたあとに欠落や重複を確認します。作業を分ければ、どこで事実を確かめるべきかも明確になります。

今回、世界地図を生成すること自体には成功しました。しかし、その画像を地理の説明資料として使えると確認できたわけではありません。

GPT-6 Astraとの対話で画像を作れることと、その内容を自分が検証できることは別の能力です。出力を確かめ、判断できない部分を認識するところまで含めて使いたい。二枚の図を作ってみて、そう感じました。