アジアの雨季はいつ?6都市のモンスーンを月別に比べるシミュレーターを作った
アジア旅行で「雨季だから雨が多い」と分かっていても、それだけでは日程を決めにくい。バンコクとホーチミンは同じ時期に雨が増えるが、ムンバイは夏の数か月に雨が集中し、赤道の南側にあるジャカルタは11月から4月ごろに雨が増える。
都市と月を切り替えながら、こうした違いを地図で比べられるアジアモンスーンラボを作った。
6都市の雨季を同じ画面で比べる
対象にしたのは、ムンバイ、バンコク、ホーチミン、マニラ、東京、ジャカルタの6都市だ。地図上の都市を選び、1月から12月までのボタンを押すと、季節風の向きと雨の傾向が切り替わる。
| 都市 | 雨が増えやすい時期の目安 | 旅行時に意識したいこと |
|---|---|---|
| ムンバイ | 6〜9月 | 道路冠水と鉄道・航空の遅れ |
| バンコク | 5〜10月 | 短時間の豪雨と空港までの道路 |
| ホーチミン | 5〜11月 | 道路冠水と配車の捕まりにくさ |
| マニラ | 6〜10月 | 南西モンスーンと熱帯低気圧 |
| 東京 | 6〜10月 | 梅雨前線、秋雨前線、台風 |
| ジャカルタ | 11〜4月 | 北半球の都市とは異なる雨季 |
この表は旅行計画の最初の目安であり、特定日の天気予報ではない。同じ雨季でも、終日降り続く日もあれば、夕方に短時間だけ激しく降る日もある。出発前には各国の気象機関と交通機関の最新情報を確認する必要がある。
月を押すと、結果と旅行リスクがすぐ見える
月ボタンを押すと、地図の下にある結果へ自動で移動する。そこで確認できるのは、季節風の向き、モンスーンの強さ、選択した都市の雨の季節傾向だ。
意味の分かりにくい点数だけを出すのではなく、「大雨に備える」「雨で予定が乱れることも」「比較的動きやすい」といった旅行者向けの言葉で表示するようにした。その下には、🌧️大雨、⚡雷雨、🌀台風のリスクを低め、やや高い、高いの3段階で並べている。
たとえば9月のホーチミンでは、大雨と雷雨のリスクが高く表示される。これは必ず大雨になるという予報ではなく、移動日に余白を持つべき季節かどうかを考えるための表示だ。
風向きが変わると雨季が動く
北半球の夏はアジア大陸が海より速く温まり、大陸側で上昇気流が生まれる。地上付近ではインド洋や西太平洋から湿った風が入り、山地や風の収束する場所で雨雲が発達する。
冬になると大陸が冷え、地上付近の風は大陸から海へ向かう。季節風の向きが反転するため、雨の多い地域も移動する。ただし、海を渡った風が当たる地域や赤道を挟んだ地域では、単純に「夏は雨、冬は乾燥」とはならない。
アプリでは月だけでなく、大陸と海の温度差、海から入る水蒸気の量も動かせる。温度差を大きくすると季節風が強まり、水蒸気を増やすと都市の雨の傾向も強くなる。実際の大気を大幅に単純化しているが、モンスーンの骨格を操作しながら確認できる。
洪水時は空港が開いていても移動できない
雨季の旅行で見るべきなのは、降水量だけではない。
2026年9月のタイ洪水では、道路冠水によって空港スタッフが出勤できず、グランドハンドリングの人員が不足し、バンコク発名古屋行きの国際線が約8時間遅れた。空港や滑走路が使える状態でも、そこへ向かう人と荷物が動かなければ航空便は出発できない。
ホーチミンのブイビエン通りで起きた冠水でも、道路だけでなく配車サービスが捕まりにくくなり、市内の移動が難しくなった。雨季の旅行では、ホテルから空港までの時間、鉄道など道路以外の経路、予定を変更できる余白まで含めて考える必要がある。
予報ではなく、旅行前の季節比較に使う
アジアモンスーンラボは、月ごとの代表的な傾向を単純化した学習用シミュレーターだ。表示している雨や台風のリスクは実測値でも、特定日の予報でもない。
向いているのは「9月のバンコクと1月のバンコクでは何が違うか」「同じ8月でもムンバイとジャカルタで雨季が違うのはなぜか」といった比較である。旅行日が決まった後は、最新の予報と警報へ切り替えて確認してほしい。
制作モデルはGPT-6 Astra。気象庁の気象業務はいま2020と夏のアジアモンスーンOLR指数を参考に、季節風の流れを模式化した。